
虫を消化しにくくなる遺伝的変化が高緯度に移住した人々に広がったことで、現代の食文化にも影響が見えてくる、生物学と文化の重層性に気づかされる出来事です。

欧州人の虫嫌い、遺伝子に9000年分の進化の証 記事の流れと主な事実
最新の遺伝子研究により、欧州系の人々が昆虫を食べない傾向には、単なる文化や宗教の影響以上に、長年の進化の痕跡が深く関わっていることが明らかになりました。研究チームは世界26の集団、約2400人のゲノムを解析し、虫の体を覆うキチンという物質を分解する能力に着目しました。キチンはエビやカニの殻にも含まれるが、非常に消化しにくい物質です。ヒトの体内にはキチンを分解する2つの酵素がありますが、その働きは遺伝的に左右されます。分析の結果、赤道に近い地域に住む人々ほど、キチンを効率よく分解できる遺伝子型を持っていました。一方、ヨーロッパ系集団(CEU、GBR、FIN)では、その能力が弱まる遺伝子型が広がっていることがわかりました。この傾向は、緯度による環境差に対応した自然選択の結果と考えられます。
主な事実
- 赤道から離れるほど、キチンを分解する酵素の働きが弱まる遺伝子型が増える傾向が確認された
- キトビアーゼ遺伝子の変異は、全遺伝子変異中上位0.04%に入るほど強い選択圧を受けていた
- 農耕以前の古代人や縄文人も同様の遺伝的傾向を持っており、この変化は農耕以前から始まっていた
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